2023.2.23&24
※EXTRAの資料解読問題の解答例は、最後にアップしてあります。
2022年度最後の歴史総合の授業が終わりました。
授業終了後は、定期考査Ⅳと特別授業を残すのみです。
突然でしたが、先週に続いて
外部の方々が授業見学にいらっしゃいました。
協力してくれたクラスの皆さん
ありがとうございました。
それだけ、初年度の「歴史総合」の授業を
どのように進めていくべきか
多くの方が悩んだり関心があったりするということかな...。
生徒たちの要望もあり、
最後は2時間連続でペアワーク。
しかも、ペアは完全に自由に組みました。
生徒の主体性を引き出すなら、
彼らのやりたいようにした方がいいからです。
今日のテーマ 情報通信技術(ICT)の光と影を考える
今日のゴール 前々回から、用語を使ってのまとめの形ではなく、生徒の皆さんが自分の考えを表現する形にしています。
私たちはこれから、高度情報社会でどのように生きていくべきだろうか?
「グローバル化と私たち」という章は、
過去を学び、それを未来に活かすコンセプトです。
[授業の流れ] 対話の進め方:個人⇒友人⇒個人⇒友人⇒個人
■教科書精読→相互説明→疑問点抽出→資料の解読→問いを相互説明→解答確認
これを2時間繰り返す
2時間目に「今日のゴール」を提出
「振り返り」は定期考査後の特別授業にて
【1時間目】
○ペアワークのための座席移動(5分)
P 対話の準備 Icebreaker(5分)
これは何の機器で、いつごろのものか?
スライドの写真は「ワープロの文豪」
フロッピーディスクにデータを保存し、
今でいう「ワード」と「エクセル」機能を主とした
手書きでない画期的な活字印刷できる機器でした。
感熱紙という紙を使って印刷しますが、
放置しておくと黒くなるので、
大事な書類はコピーして保存しました。
私が学生の頃、1980年代後半に使いました。
A 探究の入口 Critical Reading
○教科書熟読(10分)
「グローバリゼーション」「情報技術の発展」pp.215~16
「グローバル経済の深化」「情報化社会の形成」pp.216~17
「ソ連の崩壊とロシア」pp.220~221
○相互説明(2分×2)
○疑問点抽出(状況に応じて)
B 重要ポイント = 知識の習得(8分)
○「グローバリゼーション」
・1990年代以降、冷戦の終結と中国の改革・開放路線の定着
→ 市場経済の拡大、地球の一体化
・情報技術革命(IT革命)、情報通信技術革命(ICT革命)
○「情報技術の発展」
・19世紀後半~20世紀初頭
イギリスで電信・海底ケーブルなど通信網が発達
・1970年代以降
集積回路の発明が進展
集積回路の密度の推移
○「グローバル経済の進化」
・IT革命による資本移動
→ 世界金融危機(リーマン=ショック)などの世界的不況が頻繁化
・企業の海外進出と多国籍化が本格化
→ 国際貿易が急拡張、日本国内は「産業の空洞化」
○「情報化社会の形成」
・IT革命=第3次産業革命 ※インドのIC産業が盛ん
・IoT=モノのインターネット
⇒ 高度情報化社会、知識基盤型社会(21世紀)
※現在は高度情報社会
・電子商取引(EC)・SNSの普及、仮想通貨の登場
○「ソ連の崩壊とロシア」(8分)
・ロシア共和国がソ連から独立:エリツィンが大統領に就任
・ウクライナなどがソ連から離脱
・ゴルバチョフがソ連の大統領を辞任
→ ソ連の消滅
・ロシアの課題
チェチェンの民族紛争
クリミア併合(ウクライナ東部への侵攻)
⇒ G8から追放(現在はG7と呼ばれている)
C 資料の解読 = 技能の習得
○解答作り(8分)
Q1:電信ケーブルによって、どんな情報が伝わったのだろうか?
まずウンチクから。
海底ケーブルは、1858年にヴァレンティア島(現アイルランド)と
ニューファンドランド島(現カナダ)間に敷設されたのが世界初。
戦争に必要な情報(英のケーブルを部分的に使用したため英に有利)や
株式取引所の情報、各国の首脳間のやり取りなどに利用された。
Q2:高度情報社会の課題にはどんなものがあるだろうか?
・ハッキングによるサーバー攻撃でウィルス感染させ、内部情報を引き出す
・通信が途切れると、航空・船舶などの安全運航が損なわれる
・医療機器が制御できなくなり、命に関わることもある
・クレジットカード等の個人情報漏洩 など
○相互説明(時間指定せず)
○解答の解説(残り時間で)
【2時間目】
○1時間目の簡単な復習(5分)
○提出された疑問点の解説(クラスによって時間が異なる)
P 対話の準備 Icebreaker(5分)
これはいつのどんな事件か?
9.11は覚えておこう!
2001年におこったアメリカ同時多発テロ事件
A 探究の入口 Critical Reading
○教科書熟読(10分)
「イスラーム主義の台頭」
「アラブ世界の変容」pp.237~39
○相互説明(2分×2)
○疑問点抽出(状況に応じて)
B 重要ポイント = 知識の習得(8分)
○「イスラーム主義の台頭」
・ソ連がアフガニスタンから撤退(1988)
→ ターリバーンが台頭
・国際テロ組織アル=カイーダ
ウサーマ=ビン=ラーディンが結成
ネットワークでテロを扇動
・アメリカ同時多発テロ(2001.9.11)
⇒ アフガニスタン戦争「テロとの戦い」
・イラク戦争(2003)
大量破壊兵器の査察を拒んだ理由で軍事介入
⇒ フセインを処刑(2006.12.30)
○「アラブ世界の変容」
・ジャスミン革命(チュニジアの蜂起が発端:2010)
⇒「アラブの春」:軍事政権を打倒したが、民主化はなかなか進まず
・IS(イスラーム国):シリアのイラク・トルコ国境地帯で国家樹立宣言(2014)
⇒ 国際社会はテロ組織とみなして掃討作戦
(ほぼ壊滅したものの残存勢力がテロを継続)
C 資料の解読 = 技能の習得
○解答作り(8分)
Q3:アメリカはなぜイラクに大量破壊兵器があると考えたのか?
衛星を通じて、イラクの軍事行動などを監視していた。
地下で爆発等がおこって地中の温度が上がると、色で識別できるようになっていた。
Q4:アラブの春はどのようにして広がったのだろうか?
チュニジアで独裁に対する民主化運動がおこったが、それがSNSで拡散し、エジプトなどアラブ諸国に広がった。
これを「チュニジア革命」を発端とした「アラブの春」という。
情報通信が革命を広げた典型的な例で、エジプトのムバラク大統領は退陣した。
しかし「春」という名称通り、民主化運動は成功したとは言えなかった。
○相互説明(時間指定せず)
○解答の解説(残り時間で)
G 今日のゴール = 知識の活用、思考・表現力(8分)
私たちはこれから、高度情報社会でどのように生きていくべきだろうか?
私からの「ゴール」の解答例は示しません。
前回同様、皆さんから提出された代表的な解答例をいくつか書いておきます。
今回は最後なので、結構大量に載せます。
Google Classroomにて「ゴールシート」を提出!
インターネットなどは情報量が多いという側面を持ち、発信者が匿名や多数になったことにより、その情報が真実か嘘かを見極めるのがとても難しくなってきている。だから、それらの情報をきちんと判断するための力が必要になってきているのではないかと思う。また、自分が情報の発信者となることで、自分の知らぬ間に他人のプライバシーや権利を侵害する可能性も十分にありえるので、自分の発言に責任を持ち発言すべきだと考える。歴史の観点から見ると、テロの際にネットワークが利用され、それは現在も同様である。情報化が進むことは世界の技術や文化の発展につながるが、その一方で支配や犯罪のために悪用されることも多々ある。これからの時代、私達はこの社会の中で、情報機器などをいかに正しい知識を持った上で、よりよく使用していくかが大切になっていくと考える。
過去に戦争が勃発し、現在も未解決の紛争問題があらわになっているなか、私達はマスメディアを通して毎日たくさんの情報を得ている。技術ばかり進化してもグローバルは完全な成果を上げていない。世界の出来事や情勢に関心を持って、将来状況を口で説明できるような大人になっていかなければならない。そのためにはニュースを見たりする習慣も趣味として持ちたい。
今の情報は昔よりももっと精度が高くスピードも全く違う。その情報を加工して自分がした覚えのないことまでも流される可能性もある。インターネットは自分たちを豊かにしてくれるが、時に自分たちを破滅に追いやる可能性のあるものだ。それが嫌なら、まず自分からは絶対に情報の加工はやらない。そして自分の情報を表に出しすぎないことが、大切だと思う。
現代の高度情報社会では、SNSなどのインターネットを利用することで誰でも簡単に思想を共有したり、共感したりすることができる。これからの時代を生きる若い世代の我々は、情報リテラシーを高め、安易に他人の考えに共感し、思想に染まることに気をつけながら行動に移すことが大切だと考える。また行動を起こしたあとどうなるか、目的が完了したその先のことを考えながら動くことが大前提だと感じた。
個人に関してのSNSは今まで通り注意する必要があるが、国や政治に関わる情報などでは、BOTによる偽の情報の拡散などがある(ロシアなどで起こっていると言われている)、個人的な感情などが入っているものなどもあるため、公平に判断するためにもネットだけでなく報道機関などの情報も視野に入れて判断することが大事になると思う。
まず、高度情報社会における良い点は対象内の物事を様々な角度から観察・監視しやすくなることでイレギュラーがなくなること、目標に対する詳細なロードマップが立てやすくなることによる達成速度の上昇が期待されることなどが挙げられる。逆に悪い点としては、個人のプライバシーが管理化されるため、多くの個人情報が他人の手に渡る危険性があることや、情報の増加によって処理しきることができなくなることが挙げられる。現在、あまりにも多くの情報が溢れかえっているために多くの人間はそれを活かす方法を知らないという状況にある。そのような流れを断ち切るべく、私達は情報技術の発展と共に、私達自身の情報リテラシーも高めていかなくてはならないと考える。
過去、急速に情報通信機器が普及したことにより、ウイルスに対する処置や情報統制が満足に行われず銀行での営業妨害やテロの激化につながった。最近もネット上で襲撃の告知や参加表明を行っていたり、テレグラムと呼ばれる履歴を消せる秘匿性の高い通信ツールで罪を犯したりすることが多いので、私は履歴がしっかりと残るメッセージアプリを使うようにして、ネット上の過激な投稿は通報するなどして自分ができる範囲で鎮火しようと思った。
高度情報社会でプラスのことは、広範囲の情報を一元化することで物事の本質や問題を把握しやすくなったり、対象内の物事や事象を様々な角度から観察・監視しやすくなることでイレギュラーがなくなったりすることだ。このような便利な生活ができるように世界は進化しているので、それに振り回されないようにすることが大切だと考える。高度情報社会でマイナスのことは、個人のプライバシーが管理化されているため、何らかのアクシデントで流出した場合に多くの個人情報が他人の手に渡る危険性があることや、あまりに多くの情報が溢れかえっているために多くの人間はそれを活かす方法を知らないことである。そのため、個人情報を教えたりする場合は、それが本当に必要なのか正しい情報を見つける行動が大切だろう。
現代社会でもイラク戦争であったような、アメリカがイラクを監視していて戦争に持ち込んだ監視という行為があるかもしれない。今の日本では、中国からの核ミサイルの実験によってジェイアラートが鳴るなどということが多くなっている。これが日本の排他的経済水域に入ってしまうと、戦争になってしまうかもしれない。私達は戦争がない時代に生まれたと思ったら、いつの間にか戦争と近くなっていることがわかる。これからの時代どうなっていくかわからないが、私は戦争のことをもっと知っていこうと思う。
ネットやSNSが普及してきている現代、生活は便利になっているが、逆に昔はなかったリスクが伴っている。「アラブの春」はインターネットの拡散力が活きた良い場面だったと言えるが、今NEWSで話題になっているスシローの少年の話などは、インターネットの拡散力が悪い方向で活きてしまった場面と言えるだろう。インターネットの影響力は凄まじく、名のない人でも軽はずみな行動一つで悪い方向で有名になってしまう。そのためインターネットは使用用途をよく考え、世界中に発信するという自覚を持つ必要がある。
たくさんの情報が世の中に出回っているが、それらを鵜呑みにするのではなく、情報やAI自体が間違っているのではないかと疑うことが大切であると考えた。そのため、私たちはまず自分たちが誤った使い方をしない、そして情報を見極める力を自分でつけるということを行うべきである。また、情報が出回っているために各国の様々な状況を知ることが出来ているため、それを利用して外国との関わりを増やす、支援をするといったことが出来ると考えた。
高度情報社会では、アラブの春をはじめ、インターネットやSNSの普及で影響力が昔に比べて広がりやすくなり、良い影響も大いにあったが、一方で、サイバー犯罪等SNSを利用した犯罪が我々にもインターネットが身近になったばかりに起きてしまう事例が増えて、若年層以外に高齢層にまで広がっている。
高度情報社会では、様々な情報を誰もが入手することができたり、拡散することができたりするようになっているため、制限なく誰もが使うことができるようになっている。だがその反面、自分のスマホで何でもできてしまうため、未成年でもトラブルを起こしてしまうことがある。私達はネットの世界だけでなく、ネットの外の世界にも目を向けて、ネットに対する疑いの目を持ちつつ行動していくべきであると思う。
イラク戦争は、人工衛星から監視し、イラクはなにかを隠しているとアメリカが勘違いをしてしまったことで起こった。このように、メディアの普及や世界的な情報通信網の形成の背景に、最近ネットで炎上している迷惑系動画や、SNSを介したトラブル、個人情報の流出など、情報社会が発達したことで我々を脅かすような問題がたくさん出てくるようになった。我々に必要なのは、メディアをどう活用するか、リテラシーを守ることである。
インターネットやSNSは誰でも簡単に情報を得たり、発信、拡散したりすることが出来るのでどんどん活用していくべきだと思う。しかし、インターネットやSNSは誤情報やデマなどが流れ込んできたり、サイバーウイルスや、詐欺などが潜んだりしている。これらに騙されないように、不用意に個人情報を打ち込まないようするなど対策をしつつ、「アラブの春」で若者たちがインターネットやSNSで情報を交換したように、私達もたくさん情報を交換していくべきだと思う。
IT関連の知識の重要度が年々増している中、時代についていけなくなることがないように自主的に情報を仕入れて知識を蓄えることで、進化を重ねていく高度情報社会についていくことが重要である。しかしインターネット上には正しい情報もあれば間違っている情報もあるため、それらを見抜くメディアリテラシーを身につけるべきである。
インターネットは素早く情報を得ることができて、とても利便性が高いものであるが、一方で正しくない情報も蔓延しており中には悪意のあるものもある。こうした犯罪は自分なら大丈夫だろう、関係ないだろうなどと私をはじめ、無関心な人が多いと思う。しかし、インターネットやSNSが身近になった今、誰にでも犯罪の手は忍び寄ってくる現状にあり、実際に私の友人も知らぬ間に犯罪に巻き込まれてしまうなどこうした犯罪は水面下で迫ってきている。従って私達は自分には関係ないとインターネットを軽率に見ず、犯罪に巻き込まれると普段から危惧しつつ、冷静に高度情報社会と向き合っていく必要があると考える。
高度情報社会によって、様々な情報が飛び交うようになった。それにより、嘘か本当か不確かな情報が飛び交うようにもなっている。歴史的に見ると、イラク戦争の原因になった衛星による情報も結果的には不確かであった。自分が入手した情報を疑いもせずに信じてしまうと、イラク戦争のように取り返しのつかないことになる可能性がある。だからこそ、現代社会に生きる私達は入手した情報を「情報リテラシー」の観点から疑う必要があると思う。
高度情報社会になるにつれて、課題点であるサイバー攻撃や情報の氾濫などが増えていることから、そのようなことに巻き込まれないように注意する。また、「アラブの春」のように民主化を求める運動では携帯電話の普及によって運動が広がっていったので、他国との関係を悪化させないためにもそれぞれの国の情報は本当の情報であるのかをきちんと見分ける必要があると思った。
私たち若い世代はほぼ毎日のようにSNSを利用しているが、そんな中で世界中の情報技術に長けた人たちは自分の力を良い方向ではなく、悪い方向に向ける人たちがいる。例えば、国語の授業で前に学んだが、アメリカ大統領選挙が行われた際にたくさんの投票が他国からボットで行われたり、選挙に立候補した人のSNSの情報を書き換えたりして荒らし、選挙に悪くはたらくように仕組むなど様々なデマ情報が発信された。そのような嘘の情報が行き交う現代で私たちは信頼性があるのかないのか分からない情報を鵜呑みするのではなく、常に疑いの目を向けて扱うのが大事であると心がけるとともに、私たち自身が嘘の情報を拡散する手助けとならないよう気をつけていくのが重要なのではないかと考えた。
EXTRAの資料読解問題
資料1 プーチン大統領 なぜ高支持率? 独立系世論調査機関幹部が分析
Q1:.ロシアのプーチン政権は、情報技術をどう利用しているのだろうか?
資料2 ターリバーンはSNSを「武器」にする方法を心得ている
Q2:アフガニスタンのターリバーン政権は、SNS をどう利用しているのだろうか?
解答例
Q1:プーチン政権が軍事侵攻を正当化するために、ウクライナのゼレンスキー政権をナチス・ドイツになぞらえ「非ナチ化」の必要性を繰り返し強調し、国営放送をプロパガンダに利用して大衆を扇動している。
Q2:ターリバーンはTwitterを使って世界中の受信者に対し、兵士が若い女性に結婚を強制していたという報道は「悪意ある宣伝」だと率直に語りかけるようにし、彼らの正当性を主張している。また、兵士の勝利を祝福するターリバーンの指導者たちの動画をシェアしたり、現地語をうまく使ってアフガニスタン人に、英語を使って海外の人々に都合のいい政治的情報を発信したりしている。