マヤ夫の歴史総合

高校の歴史総合の授業記録です。

2022-29 占領下の日本と独立

2022.12.22

2022年最後の授業でした。
来年はいよいよ「グローバル化」。
授業の進め方も、大きく変えます!

[本日の授業の流れ]
 教科書精読→疑問点抽出→ポイント解説→ワーク→ゴール
P.対話の準備:興味の喚起と頭の体操
A.探究の入口:Critical Reading 重要点や疑問点の掘り出し
B.知識の習得:解説を聴いて知識を吸収
C.技能の習得:資料を読み取ってペアで共有
G.知識の活用=思考・判断・表現力の育成:「今日のゴール」

KP29写真

今日のテーマ
 戦後の日本の立場はどのように変化したのだろうか?

P Icebreaker (5分)
 終戦直後の教科書はなぜ黒塗りされたのか?
 資料15 p.143 の写真を参照
 戦争の絵を墨で塗りつぶさせた
 ・大砲や軍馬、騎兵
 ・国旗を持った兵隊
  → 日本が軍を持つことを否定


A 探究の入口 Critical Reading (15分)
〇教科書熟読
「占領の始まりと戦後改革」pp.141-142
「冷戦と占領政策の転換」p.149
「講和への道」p.150
  テーマに即したところは重要点
  どうして?なぜ?と思うところは疑問点
  きちんと違うラインを引いているか?

〇疑問点抽出
 教科書にラインを引き、「探究出発シート」に記入して提出

B 知識の習得 ポイント解説 (15分)
◎占領の始まりと戦後改革
戦争犯罪の追求
 ・ドイツ:ニュルンベルク国際軍事裁判
   旧ナチ党員の公職追放
 ・日本:極東国際軍事裁判東京裁判
   天皇は戦犯容疑者とせず
   戦時中の指導者を公職追放
 ▶▶連合国軍最高司令官総司令部(General Headquarters)=組織
   連合国軍最高司令官(Supreme Commander of the Allied Powers)=役職
GHQによる間接統治
 非軍事化・民主化の推進

◎冷戦と占領政策の転換
〇対日占領政策
 非軍事化・民主化
  ⇒ 朝鮮の南北分離独立(1948)
  ⇒ 経済復興・自立国家の建設
      財閥解体の緩和
      官公庁の争議権争奪
 ▶▶ドッジ=ライン
   インフレ・国内消費抑制と輸出振興を目的にデトロイト銀行頭取ジョゼフ・ドッジが勧告
    → 1ドル=360円の単一為替レートを設定
    → インフレの収束と財政黒字化
    → 倒産や失業者の増大
 ▶▶レッドパージ共産主義者を官公庁や民間企業から追放
朝鮮戦争開始後の方針転換
 ・日本の早期独立
 ・特需による日本経済の復調
   朝鮮戦争における米軍向け物資の生産
   役務の需要高

 ※時間短縮の関係で、ペアで片方ずつ説明
 Q:GHQはどのように民主化を進めたのだろうか?
 ・治安維持法の廃止
   → 共産党員の釈放
 ・政党の復活
   → 言論の自由
 ・女性参政権
   → 普通選挙の実施、女性議員の誕生
 ・経済の民主化
   → 財閥解体、農地改革


 Q:朝鮮戦争により占領政策はどのように転換されたのだろうか?
 北朝鮮大韓民国の南北分離独立
  → ソ連共産主義に対抗し、レッドパージ実施
 朝鮮戦争勃発
  → 軍事化に転換
     ・警察予備隊の創設
     ・米に対し実質的な再軍備に合意


C 技能の習得 (7分)
 ※時間短縮の関係で、ペアで片方ずつ説明

 Q:ドイツと日本の占領統治の違いは何だろうか?
 地図から読み取り
  ドイツ:米・英・仏・ソによる四カ国分割占領
  日本:実質的な米国単独の占領


 Q:アメリカは日本にどのような要求をしたのだろうか? 
 資料8の読み取り
  米国が日本または周辺に陸・空・海軍を配備できる
  「極東における国際平和と安全維持に寄与」
  (日本の要請を含めて)
  外部からの武力攻撃に軍備を使用できる


G 思考・判断・表現力 = 知識の活用 (8分)
 戦後の日本の立場はどのように変化したのだろうか?
  Keyword
   間接統治、民主化レッドパージ
   占領政策の転換、再軍備日米安全保障条約

ドイツが米・英・仏・ソの四カによって分割占領されたのと異なり、実質的に米国単独で占領され、日本政府を通じて間接統治された。当初GHQは、非軍事化と民主化を推進したが、朝鮮が南北分離独立すると、ソ連共産主義に対抗するため、レッドパージを行った。また、朝鮮戦争が始まると、日本政府に警察予備隊を創設させるなど軍事化を進めて占領政策の転換を行った。日本は米国との講和の道を探り、表向きは再軍備を拒否したが、裏ではこれに合意した。そして1951年に日米安全保障条約を締結し、日本の独立と国際復帰を条件に、米軍の日本駐留を認めた。