拙ブログにようこそおいでくださいました。
このブログは、2022年度に実施した歴史総合の授業記録です。
拙ブログ「マヤ夫の世界史授業」に書き込んであった歴史総合をそっくりこちらに移設しました。
worldhistorybymayao.blog.fc2.com
今後、2025年度の歴史総合の授業が始まったら、随時更新していきます。
それまでは、少し古めの2022年度版をご覧ください。
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2023.2.23&24
※EXTRAの資料解読問題の解答例は、最後にアップしてあります。
2022年度最後の歴史総合の授業が終わりました。
授業終了後は、定期考査Ⅳと特別授業を残すのみです。
突然でしたが、先週に続いて
外部の方々が授業見学にいらっしゃいました。
協力してくれたクラスの皆さん
ありがとうございました。
それだけ、初年度の「歴史総合」の授業を
どのように進めていくべきか
多くの方が悩んだり関心があったりするということかな...。
生徒たちの要望もあり、
最後は2時間連続でペアワーク。
しかも、ペアは完全に自由に組みました。
生徒の主体性を引き出すなら、
彼らのやりたいようにした方がいいからです。
今日のテーマ 情報通信技術(ICT)の光と影を考える
今日のゴール 前々回から、用語を使ってのまとめの形ではなく、生徒の皆さんが自分の考えを表現する形にしています。
私たちはこれから、高度情報社会でどのように生きていくべきだろうか?
「グローバル化と私たち」という章は、
過去を学び、それを未来に活かすコンセプトです。
[授業の流れ] 対話の進め方:個人⇒友人⇒個人⇒友人⇒個人
■教科書精読→相互説明→疑問点抽出→資料の解読→問いを相互説明→解答確認
これを2時間繰り返す
2時間目に「今日のゴール」を提出
「振り返り」は定期考査後の特別授業にて
【1時間目】
○ペアワークのための座席移動(5分)
P 対話の準備 Icebreaker(5分)
これは何の機器で、いつごろのものか?
スライドの写真は「ワープロの文豪」
フロッピーディスクにデータを保存し、
今でいう「ワード」と「エクセル」機能を主とした
手書きでない画期的な活字印刷できる機器でした。
感熱紙という紙を使って印刷しますが、
放置しておくと黒くなるので、
大事な書類はコピーして保存しました。
私が学生の頃、1980年代後半に使いました。
A 探究の入口 Critical Reading
○教科書熟読(10分)
「グローバリゼーション」「情報技術の発展」pp.215~16
「グローバル経済の深化」「情報化社会の形成」pp.216~17
「ソ連の崩壊とロシア」pp.220~221
○相互説明(2分×2)
○疑問点抽出(状況に応じて)
B 重要ポイント = 知識の習得(8分)
○「グローバリゼーション」
・1990年代以降、冷戦の終結と中国の改革・開放路線の定着
→ 市場経済の拡大、地球の一体化
・情報技術革命(IT革命)、情報通信技術革命(ICT革命)
○「情報技術の発展」
・19世紀後半~20世紀初頭
イギリスで電信・海底ケーブルなど通信網が発達
・1970年代以降
集積回路の発明が進展
集積回路の密度の推移
○「グローバル経済の進化」
・IT革命による資本移動
→ 世界金融危機(リーマン=ショック)などの世界的不況が頻繁化
・企業の海外進出と多国籍化が本格化
→ 国際貿易が急拡張、日本国内は「産業の空洞化」
○「情報化社会の形成」
・IT革命=第3次産業革命 ※インドのIC産業が盛ん
・IoT=モノのインターネット
⇒ 高度情報化社会、知識基盤型社会(21世紀)
※現在は高度情報社会
・電子商取引(EC)・SNSの普及、仮想通貨の登場
○「ソ連の崩壊とロシア」(8分)
・ロシア共和国がソ連から独立:エリツィンが大統領に就任
・ウクライナなどがソ連から離脱
・ゴルバチョフがソ連の大統領を辞任
→ ソ連の消滅
・ロシアの課題
チェチェンの民族紛争
クリミア併合(ウクライナ東部への侵攻)
⇒ G8から追放(現在はG7と呼ばれている)
C 資料の解読 = 技能の習得
○解答作り(8分)
Q1:電信ケーブルによって、どんな情報が伝わったのだろうか?
まずウンチクから。
海底ケーブルは、1858年にヴァレンティア島(現アイルランド)と
ニューファンドランド島(現カナダ)間に敷設されたのが世界初。
戦争に必要な情報(英のケーブルを部分的に使用したため英に有利)や
株式取引所の情報、各国の首脳間のやり取りなどに利用された。
Q2:高度情報社会の課題にはどんなものがあるだろうか?
・ハッキングによるサーバー攻撃でウィルス感染させ、内部情報を引き出す
・通信が途切れると、航空・船舶などの安全運航が損なわれる
・医療機器が制御できなくなり、命に関わることもある
・クレジットカード等の個人情報漏洩 など
○相互説明(時間指定せず)
○解答の解説(残り時間で)
【2時間目】
○1時間目の簡単な復習(5分)
○提出された疑問点の解説(クラスによって時間が異なる)
P 対話の準備 Icebreaker(5分)
これはいつのどんな事件か?
9.11は覚えておこう!
2001年におこったアメリカ同時多発テロ事件
A 探究の入口 Critical Reading
○教科書熟読(10分)
「イスラーム主義の台頭」
「アラブ世界の変容」pp.237~39
○相互説明(2分×2)
○疑問点抽出(状況に応じて)
B 重要ポイント = 知識の習得(8分)
○「イスラーム主義の台頭」
・ソ連がアフガニスタンから撤退(1988)
→ ターリバーンが台頭
・国際テロ組織アル=カイーダ
ウサーマ=ビン=ラーディンが結成
ネットワークでテロを扇動
・アメリカ同時多発テロ(2001.9.11)
⇒ アフガニスタン戦争「テロとの戦い」
・イラク戦争(2003)
大量破壊兵器の査察を拒んだ理由で軍事介入
⇒ フセインを処刑(2006.12.30)
○「アラブ世界の変容」
・ジャスミン革命(チュニジアの蜂起が発端:2010)
⇒「アラブの春」:軍事政権を打倒したが、民主化はなかなか進まず
・IS(イスラーム国):シリアのイラク・トルコ国境地帯で国家樹立宣言(2014)
⇒ 国際社会はテロ組織とみなして掃討作戦
(ほぼ壊滅したものの残存勢力がテロを継続)
C 資料の解読 = 技能の習得
○解答作り(8分)
Q3:アメリカはなぜイラクに大量破壊兵器があると考えたのか?
衛星を通じて、イラクの軍事行動などを監視していた。
地下で爆発等がおこって地中の温度が上がると、色で識別できるようになっていた。
Q4:アラブの春はどのようにして広がったのだろうか?
チュニジアで独裁に対する民主化運動がおこったが、それがSNSで拡散し、エジプトなどアラブ諸国に広がった。
これを「チュニジア革命」を発端とした「アラブの春」という。
情報通信が革命を広げた典型的な例で、エジプトのムバラク大統領は退陣した。
しかし「春」という名称通り、民主化運動は成功したとは言えなかった。
○相互説明(時間指定せず)
○解答の解説(残り時間で)
G 今日のゴール = 知識の活用、思考・表現力(8分)
私たちはこれから、高度情報社会でどのように生きていくべきだろうか?
私からの「ゴール」の解答例は示しません。
前回同様、皆さんから提出された代表的な解答例をいくつか書いておきます。
今回は最後なので、結構大量に載せます。
Google Classroomにて「ゴールシート」を提出!
インターネットなどは情報量が多いという側面を持ち、発信者が匿名や多数になったことにより、その情報が真実か嘘かを見極めるのがとても難しくなってきている。だから、それらの情報をきちんと判断するための力が必要になってきているのではないかと思う。また、自分が情報の発信者となることで、自分の知らぬ間に他人のプライバシーや権利を侵害する可能性も十分にありえるので、自分の発言に責任を持ち発言すべきだと考える。歴史の観点から見ると、テロの際にネットワークが利用され、それは現在も同様である。情報化が進むことは世界の技術や文化の発展につながるが、その一方で支配や犯罪のために悪用されることも多々ある。これからの時代、私達はこの社会の中で、情報機器などをいかに正しい知識を持った上で、よりよく使用していくかが大切になっていくと考える。
過去に戦争が勃発し、現在も未解決の紛争問題があらわになっているなか、私達はマスメディアを通して毎日たくさんの情報を得ている。技術ばかり進化してもグローバルは完全な成果を上げていない。世界の出来事や情勢に関心を持って、将来状況を口で説明できるような大人になっていかなければならない。そのためにはニュースを見たりする習慣も趣味として持ちたい。
今の情報は昔よりももっと精度が高くスピードも全く違う。その情報を加工して自分がした覚えのないことまでも流される可能性もある。インターネットは自分たちを豊かにしてくれるが、時に自分たちを破滅に追いやる可能性のあるものだ。それが嫌なら、まず自分からは絶対に情報の加工はやらない。そして自分の情報を表に出しすぎないことが、大切だと思う。
現代の高度情報社会では、SNSなどのインターネットを利用することで誰でも簡単に思想を共有したり、共感したりすることができる。これからの時代を生きる若い世代の我々は、情報リテラシーを高め、安易に他人の考えに共感し、思想に染まることに気をつけながら行動に移すことが大切だと考える。また行動を起こしたあとどうなるか、目的が完了したその先のことを考えながら動くことが大前提だと感じた。
個人に関してのSNSは今まで通り注意する必要があるが、国や政治に関わる情報などでは、BOTによる偽の情報の拡散などがある(ロシアなどで起こっていると言われている)、個人的な感情などが入っているものなどもあるため、公平に判断するためにもネットだけでなく報道機関などの情報も視野に入れて判断することが大事になると思う。
まず、高度情報社会における良い点は対象内の物事を様々な角度から観察・監視しやすくなることでイレギュラーがなくなること、目標に対する詳細なロードマップが立てやすくなることによる達成速度の上昇が期待されることなどが挙げられる。逆に悪い点としては、個人のプライバシーが管理化されるため、多くの個人情報が他人の手に渡る危険性があることや、情報の増加によって処理しきることができなくなることが挙げられる。現在、あまりにも多くの情報が溢れかえっているために多くの人間はそれを活かす方法を知らないという状況にある。そのような流れを断ち切るべく、私達は情報技術の発展と共に、私達自身の情報リテラシーも高めていかなくてはならないと考える。
過去、急速に情報通信機器が普及したことにより、ウイルスに対する処置や情報統制が満足に行われず銀行での営業妨害やテロの激化につながった。最近もネット上で襲撃の告知や参加表明を行っていたり、テレグラムと呼ばれる履歴を消せる秘匿性の高い通信ツールで罪を犯したりすることが多いので、私は履歴がしっかりと残るメッセージアプリを使うようにして、ネット上の過激な投稿は通報するなどして自分ができる範囲で鎮火しようと思った。
高度情報社会でプラスのことは、広範囲の情報を一元化することで物事の本質や問題を把握しやすくなったり、対象内の物事や事象を様々な角度から観察・監視しやすくなることでイレギュラーがなくなったりすることだ。このような便利な生活ができるように世界は進化しているので、それに振り回されないようにすることが大切だと考える。高度情報社会でマイナスのことは、個人のプライバシーが管理化されているため、何らかのアクシデントで流出した場合に多くの個人情報が他人の手に渡る危険性があることや、あまりに多くの情報が溢れかえっているために多くの人間はそれを活かす方法を知らないことである。そのため、個人情報を教えたりする場合は、それが本当に必要なのか正しい情報を見つける行動が大切だろう。
現代社会でもイラク戦争であったような、アメリカがイラクを監視していて戦争に持ち込んだ監視という行為があるかもしれない。今の日本では、中国からの核ミサイルの実験によってジェイアラートが鳴るなどということが多くなっている。これが日本の排他的経済水域に入ってしまうと、戦争になってしまうかもしれない。私達は戦争がない時代に生まれたと思ったら、いつの間にか戦争と近くなっていることがわかる。これからの時代どうなっていくかわからないが、私は戦争のことをもっと知っていこうと思う。
ネットやSNSが普及してきている現代、生活は便利になっているが、逆に昔はなかったリスクが伴っている。「アラブの春」はインターネットの拡散力が活きた良い場面だったと言えるが、今NEWSで話題になっているスシローの少年の話などは、インターネットの拡散力が悪い方向で活きてしまった場面と言えるだろう。インターネットの影響力は凄まじく、名のない人でも軽はずみな行動一つで悪い方向で有名になってしまう。そのためインターネットは使用用途をよく考え、世界中に発信するという自覚を持つ必要がある。
たくさんの情報が世の中に出回っているが、それらを鵜呑みにするのではなく、情報やAI自体が間違っているのではないかと疑うことが大切であると考えた。そのため、私たちはまず自分たちが誤った使い方をしない、そして情報を見極める力を自分でつけるということを行うべきである。また、情報が出回っているために各国の様々な状況を知ることが出来ているため、それを利用して外国との関わりを増やす、支援をするといったことが出来ると考えた。
高度情報社会では、アラブの春をはじめ、インターネットやSNSの普及で影響力が昔に比べて広がりやすくなり、良い影響も大いにあったが、一方で、サイバー犯罪等SNSを利用した犯罪が我々にもインターネットが身近になったばかりに起きてしまう事例が増えて、若年層以外に高齢層にまで広がっている。
高度情報社会では、様々な情報を誰もが入手することができたり、拡散することができたりするようになっているため、制限なく誰もが使うことができるようになっている。だがその反面、自分のスマホで何でもできてしまうため、未成年でもトラブルを起こしてしまうことがある。私達はネットの世界だけでなく、ネットの外の世界にも目を向けて、ネットに対する疑いの目を持ちつつ行動していくべきであると思う。
イラク戦争は、人工衛星から監視し、イラクはなにかを隠しているとアメリカが勘違いをしてしまったことで起こった。このように、メディアの普及や世界的な情報通信網の形成の背景に、最近ネットで炎上している迷惑系動画や、SNSを介したトラブル、個人情報の流出など、情報社会が発達したことで我々を脅かすような問題がたくさん出てくるようになった。我々に必要なのは、メディアをどう活用するか、リテラシーを守ることである。
インターネットやSNSは誰でも簡単に情報を得たり、発信、拡散したりすることが出来るのでどんどん活用していくべきだと思う。しかし、インターネットやSNSは誤情報やデマなどが流れ込んできたり、サイバーウイルスや、詐欺などが潜んだりしている。これらに騙されないように、不用意に個人情報を打ち込まないようするなど対策をしつつ、「アラブの春」で若者たちがインターネットやSNSで情報を交換したように、私達もたくさん情報を交換していくべきだと思う。
IT関連の知識の重要度が年々増している中、時代についていけなくなることがないように自主的に情報を仕入れて知識を蓄えることで、進化を重ねていく高度情報社会についていくことが重要である。しかしインターネット上には正しい情報もあれば間違っている情報もあるため、それらを見抜くメディアリテラシーを身につけるべきである。
インターネットは素早く情報を得ることができて、とても利便性が高いものであるが、一方で正しくない情報も蔓延しており中には悪意のあるものもある。こうした犯罪は自分なら大丈夫だろう、関係ないだろうなどと私をはじめ、無関心な人が多いと思う。しかし、インターネットやSNSが身近になった今、誰にでも犯罪の手は忍び寄ってくる現状にあり、実際に私の友人も知らぬ間に犯罪に巻き込まれてしまうなどこうした犯罪は水面下で迫ってきている。従って私達は自分には関係ないとインターネットを軽率に見ず、犯罪に巻き込まれると普段から危惧しつつ、冷静に高度情報社会と向き合っていく必要があると考える。
高度情報社会によって、様々な情報が飛び交うようになった。それにより、嘘か本当か不確かな情報が飛び交うようにもなっている。歴史的に見ると、イラク戦争の原因になった衛星による情報も結果的には不確かであった。自分が入手した情報を疑いもせずに信じてしまうと、イラク戦争のように取り返しのつかないことになる可能性がある。だからこそ、現代社会に生きる私達は入手した情報を「情報リテラシー」の観点から疑う必要があると思う。
高度情報社会になるにつれて、課題点であるサイバー攻撃や情報の氾濫などが増えていることから、そのようなことに巻き込まれないように注意する。また、「アラブの春」のように民主化を求める運動では携帯電話の普及によって運動が広がっていったので、他国との関係を悪化させないためにもそれぞれの国の情報は本当の情報であるのかをきちんと見分ける必要があると思った。
私たち若い世代はほぼ毎日のようにSNSを利用しているが、そんな中で世界中の情報技術に長けた人たちは自分の力を良い方向ではなく、悪い方向に向ける人たちがいる。例えば、国語の授業で前に学んだが、アメリカ大統領選挙が行われた際にたくさんの投票が他国からボットで行われたり、選挙に立候補した人のSNSの情報を書き換えたりして荒らし、選挙に悪くはたらくように仕組むなど様々なデマ情報が発信された。そのような嘘の情報が行き交う現代で私たちは信頼性があるのかないのか分からない情報を鵜呑みするのではなく、常に疑いの目を向けて扱うのが大事であると心がけるとともに、私たち自身が嘘の情報を拡散する手助けとならないよう気をつけていくのが重要なのではないかと考えた。
EXTRAの資料読解問題
資料1 プーチン大統領 なぜ高支持率? 独立系世論調査機関幹部が分析
Q1:.ロシアのプーチン政権は、情報技術をどう利用しているのだろうか?
資料2 ターリバーンはSNSを「武器」にする方法を心得ている
Q2:アフガニスタンのターリバーン政権は、SNS をどう利用しているのだろうか?
解答例
Q1:プーチン政権が軍事侵攻を正当化するために、ウクライナのゼレンスキー政権をナチス・ドイツになぞらえ「非ナチ化」の必要性を繰り返し強調し、国営放送をプロパガンダに利用して大衆を扇動している。
Q2:ターリバーンはTwitterを使って世界中の受信者に対し、兵士が若い女性に結婚を強制していたという報道は「悪意ある宣伝」だと率直に語りかけるようにし、彼らの正当性を主張している。また、兵士の勝利を祝福するターリバーンの指導者たちの動画をシェアしたり、現地語をうまく使ってアフガニスタン人に、英語を使って海外の人々に都合のいい政治的情報を発信したりしている。
2023.2.18
札幌の高校の先生が授業見学に来ましたが、皆さんは普段通りの姿勢で授業に参加していましたね。協力してくれたクラスの皆さんに感謝します!
知識をしっかりつけてほしいという目的があったので、今回はグループワークでなくペアワークにしました。
パレスチナ問題を自分たちなりにきちんと考えるのが、この授業の目的でした。
今日のテーマ
アラブ世界の今後のあり方を考える
グローバル社会には何が必要になってくるか
今日のゴール 前回から、用語を使ってのまとめの形ではなく、生徒の皆さんが自分の考えを表現する形にしています。
私たちはパレスチナ問題にどのように関わっていけるだろうか?
[授業の流れ] 対話の進め方:個人⇒友人⇒個人⇒友人⇒個人
教科書精読→相互説明→資料の解読→問いの解答説明→補足解説→今日のゴール(提出)
P 対話の準備 Icebreaker(5分)
このスーパーマーケットの様子は何が原因?
中東諸国の石油戦略(敵対国への石油輸出禁止や石油価格の上昇)により「石油危機」がおこり、石油で生産するトイレットペーパーを購入するために客が殺到している(トイレットペーパーが売り切れるというデマが飛び交う)。
A 探究の入口 Critical Reading
〇KPシートとスライドによる解説(11分) = 知識の習得
〇アラブ諸国と中東戦争
・国連のパレスチナ分割案
→ 第1次中東戦争
⇒ パレスチナ難民(アラブ系)の発生
・エジプトによるスエズ運河の国有化宣言
→ 第2次中東戦争
⇒ エジプトがアラブ諸国内の指導的地位を獲得
・イスラエルの奇襲攻撃
→ 第3次中東戦争
⇒ イスラエルがシナイ半島を占領
〇産油国の石油景気
・シナイ半島を奪回すべくエジプトとシリアが奇襲攻撃
⇒ 第4次中東戦争
→ 第1次石油危機
・イラン=イスラーム革命(パフレヴィー朝崩壊)
→ 第2次石油危機
〇西アジアの石油資源と資源ナショナリズム
・イランの石油企業の国有化 → モサデグの追放、パフレヴィー2世の白色革命
・石油輸出国機構(OPEC)
アラブ石油輸出国機構(OAPEC)
〇イラン=イラク戦争
・イラン=イスラーム革命:国王の専制と親米路線への反発
→ イラン=イスラーム共和国:ホメイニが指導
イラク共和国:フセインが大統領に
・イラン=イラク戦争
→ 米ソがイラクを支援し、イラン側が停戦決議を受け入れ
〇湾岸戦争
・財政難のため石油を確保しようとフセイン(イラク)がクウェート侵攻
→ 湾岸戦争:国連の多国籍軍がイラクを攻撃し、イラクに制裁
・パレスチナ暫定自治協定
→ パレスチナ自治政府が誕生
→ 現在も武力衝突があり、和平交渉は進展せず
〇教科書熟読(10分)
第5章「アラブ諸国と中東戦争」
第6章「産油国の石油景気」
「西アジアの石油資源と資源ナショナリズム」
「イラン=イラク戦争」「湾岸戦争」
〇相互説明(2分×2)
B 資料の解読 = 技能の習得
〇解答作成と相互説明(8分+4分)
Q1:国連パレスチナ分割案から、どのような世論があったと考えられるか?
分割案は人口が少ないにもかかわらず、領土的にユダヤ人に有利だった。
ナチスによるユダヤ人虐殺がシオニズムに追い風となった。
Q2:第1次石油危機の影響で、アラブ諸国の経済はどうなったのか?
原油価格が高騰し、
石油戦略で二度の石油危機に!
オイルマネーでアラブ諸国は一時的に富を蓄積することになる
Q3:なぜOPECが結成されたのだろうか?
・資料11
イランの共同生産会社がほぼ欧米で占められている
(1960年にOPECが設立されたが、12年後もこのような状況)
・資料12
中東諸国が約7割を占めている
⇒ 中東諸国が自国の石油利益を守るために設立
Q4:湾岸戦争後、イスラエルとパレスチナの関係はどうなったのだろうか?
オスロ合意(パレスチナに暫定的に自治を認める)まではよかったが、
2年後にラビン首相が暗殺される
次の首相のシャロンは分離壁を建設し、アラブ人との分断を図る
⇒ 和平交渉は進まず、テロも頻発
〇解答の解説(8分)
※個別学習化をはかるため、解説を聴くか「今日のゴール」を書くかは、各自の判断に委ねた。
解説を聴く場合は、「今日のゴール」は宿題とした。
G 今日のゴール = 知識の活用、思考・表現力(8分)
私たちはパレスチナ問題にどのように関わっていけるだろうか?
Google Classroomにて「ゴールシート」を提出!
私からの「ゴール」の解答例は示しませんが、提出された代表的な解答例をいくつか書いておきます。
パレスチナ問題は国を超えた問題であるため、現地で直接的に関わることは難しいが、日本で行われているパレスチナの難民を支援する募金活動に参加することはできると思う。また、自分一人で活動するのでなく学校での募金活動を提案するなど、周りの人も巻き込んでいくことができればより一層活動の価値が高まると思う。
我々が直接的にパレスチナ問題の解決をするということは難しいが、支援などを行って住民の生活の手助けなどをすることはできると思う。具体的には、移民や避難民を快く受け入れることや、募金による資金的な援助もできるだろう。
パレスチナの領域の約80%がイスラエルの支配下に入ったことでアラブ人がパレスチナから追われ、幼い子供達も難民となっている。彼らが一日でも早く安心して暮らすことができるように、着られなくなった洋服を捨てるのではなく、団体に物品を寄付する。
現在も平和交渉が進んでいないパレスチナ問題に関心を持ち、正しい知識を身につけ、難民の人たちをどうすれば支援することができるかを考えることが大切だと思う。身近に私達でも支援できる活動は「募金」だと思う。高校生である私達が直接的に難民を支援することは難しいが、募金を通して間接的に支援することができる。
イスラエル建国によって難民になってしまったパレスチナの人々を手助けすることによって、関わっていけるのではないかと考える。住む場所や食料品を確保するために、募金活動や物の寄付などを積極的に行うことでパレスチナの人々を助けることができるのではないだろうか。少しの募金でも多くの物を買うために、ほんの少しの気持ちでも募金する人が増えることによって日本全体がこの問題に関わることが可能になるのではないかと考えた。
この問題の厄介さは、宗教の違いにあると思う。宗教とはそもそも自分たちの生活の一部であり、自分たちの人生になくてはならないものなのである。自分たちの信仰する宗教の重要な土地を、取り決めによる占拠が行われたら、あるいは今まで当たり前のように身近にあった大切な場所を、自分たちの生活から切り離されたら、対立が起こるのは自然なことと言っても過言ではない。この問題を解決するには、互いの宗教理念が今のものから変化し、相手を受け入れられるようにならない限り難しいと思う。無宗教とも言われる我々日本人も、他国の宗教に対する気持ちを軽んじずに理解することが重要だ。
トランプ大統領はイスラエル寄りの考え方が強かったために、パレスチナへの支援を打ち切るなど、イスラエル寄りの政策をとった。よって、ただでさえ止まっていた和平交渉は、さらに進まなくなってしまった。そこでバイデン氏が解決してくれるだろうと期待されていたが、結局パレスチナ問題は後回しになったままである。パレスチナ問題の原因は、世界は目を向けているものの、行動にほとんど移せていないということだ。私達全員がパレスチナ問題のことを知り、何が問題なのかを話し合うことが、パレスチナ問題への関わり方だと考える。少しでも自分には関係ないという考えが、平和への道を失くすことにつながると思う。
2023.2.14&15
札幌の高校の先生が授業見学に来ましたが、
皆さんは普段通りの姿勢で授業に参加していましたね。
協力してくれたクラスの皆さんに感謝します!
今日のテーマ 核兵器競争のこれからを考える
今日のゴール 今回から、用語を使ってのまとめの形ではなく、生徒の皆さんが自分の考えを表現する形にします。
どのようにして核兵器を廃絶していく努力をすべきだろうか?
[授業の流れ] 対話の進め方:個人⇒友人⇒個人⇒友人⇒個人
1時間目
教科書精読→相互説明→疑問点抽出→グループで調べて解決→質問を紙で提出
2時間目
ポイント解説→資料の解読→相互説明→今日のゴール(提出)
グループ作り(4分)
P 対話の準備 Icebreaker(5分)
ゴジラのポスターから、どのようなメッセージが受け取れるか?
ゴジラは、水爆を中性化できる器官を持つ怪物で、水爆実験の影響で生まれた「核の落とし子」であり、「人間が生み出した恐怖の象徴」として描かれた。だが、核兵器によって生み出された怪獣を、人間の手で殺してしまった。これは人間のあさはかで身勝手な一面を描いており、水爆開発を批判している。
A 探究の入口 Critical Reading
〇教科書熟読(12分)
「核軍拡の展開」「反核・平和運動の流れ」
「デタント」「核拡散防止条約」「デタント崩壊」
「核兵器禁止条約」(プリント資料)
「日本政府の考え」(プリント資料)
〇相互説明(8分)
〇疑問点抽出(6分+15分)
疑問点にしっかりラインを引く
⇒ グループで調べ、解答を共有
⇒ 解消できなかった質問をリーダーが紙に書いて提出
ここで1時間目終了
続いて2時間目
B 重要ポイント/ C 資料の解読 = 知識の習得/技能の習得
※クラスごとで出た質問の解説(5~10分)
ポイント解説(10~15分)
〇核軍拡の展開
・各国のおもな核実験と実験回数
・キューバ危機
キューバのミサイル基地をめぐる米ソの対立
第三次世界大戦の危機と言われた。
☆年表のうち、本文にあるものをきちんと確認してね!
〇反核・平和運動の流れ
・第五福竜丸の被爆事故
資料:魚屋トミ子さんの発言
・第1回原水爆禁止世界大会
・ラッセル=アインシュタイン宣言
・パグウォッシュ会議
核兵器廃絶を世界に働きかけるための科学者による国際会議
各問いについて解答を割り当てて作成(8分)
グループ内で解答を説明(3分×4)
Q1:第五福竜丸の被爆事故は、その後の運動をどのような展開にしたのだろうか?
魚が売れない問題だけでなく、杉並区の署名活動が原水爆禁止世界大会(広島)への大きな力になった。小さな動きが世界農語彙につながるという実例である!
Q2:部分的核実験禁止条約と核拡散防止条約の違いは何だろうか?また、部分的核実験禁止条約に調印しなかった核保有国がいたのはなぜだろうか?
・部分的核実験禁止条約(1963)
大気圏内、宇宙空間及び水中の核兵器実験を禁止するが、地下実験は認めた。
当時の核保有国は米・ソ・英のみで、仏(1960済)・中(1964開発)は反発して調印しなかった。
だから、核開発を抑止する効果は限定的であった。
・核拡散防止条約は、プリントを参照してほしい。簡潔に言えば、禁止ではなくこれ以上核を世界に広めないように、核開発を進める動きや支援を禁止した。
〇デタント(緊張緩和)政策/デタント(緊張緩和)の崩壊
・戦略兵器制限交渉(SALTⅠ)
米ソで核弾道ミサイル保有数を制限=ICBM・SLBMともソ連が多い
ICBM:大陸間弾道ミサイル
SLBM:潜水艦発射弾道ミサイル
・第二次戦略兵器制限交渉(SALTⅡ)
→ ソ連のアフガニスタン軍事介入でデタント終了
・東方外交
西独のブラント首相がポーランドに謝罪
(西側が東側に謝罪する)
〇核拡散防止条約(NPT)
1968年に署名開始、1970年に正式発効、
1995年にその効力が無期限延長
核保有国で調印していないのは、
インド・パキスタン・イスラエル(北朝鮮は脱退したと主張)
☆世界終末時計
11:45以降の時計の針で核兵器等による地球滅亡を示す
Q3:世界終末時計の1949年、1963年、1972年の針が動いた理由は何だろうか?また、2023年がもっとも時計の針が進んだのはなぜだろうか?
1949年 ソ連の原爆実験 で針が進んだ。
1963年 部分的核実験禁止条約 で針が戻った。
1972年 米ソがSALTを結び、デタント(緊張緩和)が訪れたので、針が戻った。
2023年 ソ連のウクライナ侵攻により、2023.1.24に11:58 30秒になり、過去76年間で最も地球の破滅に近づいている。
☆核なき世界を目指して
資料「オバマ大統領のプラハ演説」
資料「核兵器禁止条約」の主な内容
資料「核兵器禁止条約に対する政府の見解」
Q4:なぜ日本は核兵器禁止条約を批准しないのだろうか?
プリントの資料をしっかり読み込むように!
日本政府の立場は、日本はアメリカの核抑止力を期待し、核兵器そのものの禁止を支持できない。「核の傘」をとりさることは、日本の安全保障にマイナスである。ただし、核兵器を廃絶する努力は、世界全体で進めなければいけないのは承知している。
G 今日のゴール(10分) = 知識の活用、思考・表現力
どのようにして核兵器を廃絶していく努力をすべきだろうか?
Google Classroomにて「ゴールシート」を提出!
私からの「ゴール」の解答例は示しませんが、提出された代表的な解答例をいくつか書いておきます。
これが正解というような問いではありませんから。
核兵器廃絶を強く願う人や核を減らそうとしている世界をめざして活動している人たちのことを多くの人に知ってもらうことが、核兵器を減らすための一つの行動だと考える。さらに、核兵器は自国を守るためにも必要なので完全に廃絶することはできない。だから、すべての国が同じ数の核兵器を持つなど、毎年何個は減らすなど、すべての国にとって同じ内容のルールを作るなどして平等な内容にする。核の保有数などが核兵器の減らない一つであると考えるからだ。また、今日の授業のように未来の大人になる子どもたちに核兵器の知識を知ってもらうことが核兵器の使用の抑制につながると考えるので、核兵器の怖さや、核兵器はなぜ失くす事ができないのかなどのことを若い世代に知ってもらうことが、核兵器を減らす第一歩になると考える。
私は平和を祈るだけではなかなか世界は変わらないと思う。今世界にある核弾頭は13,880発ほどである。そのうちロシアとアメリカが、2国で全体の90パーセントの所有率を占めている。冷戦時代は7万発あったことを考えるとずいぶんと少なくなったという印象を持つが、大切なことは核の数ではなく、核保有国の考え方が変わることだと考える。『核兵器はいらない』『核兵器がなくても大丈夫』と各国のトップが思うことが大切だ。「核兵器を持つことは恥」「核兵器では人の安全は守れない」というイメージを、人々の中に作っていくことが必要だと考える。私達に直接できることはないが、人間1人1人が「核兵器はだめだ」という考えを持っていれば、あとは時間の問題だと感じる。
私は核兵器を廃絶するためには、核保有国のトップが「核兵器はいらない」と認識することが大事だと考える。そのために核兵器禁止条約があるが、核保有国が参加しない条約は無意味だと主張する人も多い。しかし、アメリカではこのような流れを断つ民間企業も出てきている。核兵器製造企業への投融資禁止をホームページに示すことで、プレッシャーを与え金融機関を変えていったのだ。今は核兵器保有数が1位のアメリカだが、そんなところでもこうした新たな動きがみられている。私たちはどうしてもアメリカに守られているという事実があるが、こういった企業に対してその取り組みが良いと感じたら、その意思を表明したり、応援したりすることで、世界を変えるきっかけとなるのではないかと考えた。
核兵器というものは、使用すると世界を変えてしまう恐ろしい兵器であるということを、改めて認識した。数年前に街中で核兵器反対についての演説をしている人を見かけたことがあり、署名を求められたが何のことかもよくわからず、急いでいるからと断ってしまった。だが、そのとき演説をしていた人は、核兵器を廃絶するために自分ができることをしていた人なのだということがわかった。今後、もし数年前のように署名活動をしている人を見かけたら、積極的に応援、協力していきたい。また、自分が何かに参加するだけでなく、核兵器についてよくわからないという人に核兵器について説明し、どのように廃絶していくべきか一緒に考えるなど、他の人の活動に任せるだけではなく自分が何かできることを探して核兵器廃絶のために努力していきたい。
2023.1.26&27
第Ⅲ部「グローバル化と私たち」では、
基本的に2時間で1セットし、
グループワークで行います。
ところどころ、知識の獲得に重点を置く
授業のみ1時間完結でペアワークとします。
今回は「冷戦と代理戦争」です。
昨年12月にやった授業で
「ベルリン封鎖」を学んだので、
どこかで「ベルリンの壁」を学習したいのです。
だから、ここで「代理戦争」に含めて設定しました。
授業の流れの説明(5分)
4人グループ作り(5分)
P アイスブレイク(5分)
ある国の人物が他の国の人物を踏みつけている絵
何を表しているのだろうか?
A 探究の入口
〇教科書熟読(12分)
〇相互説明(8分)
可能な限り、グループ内で全員が説明
説明と聴く姿勢を優先し、メモは任意。
〇疑問点抽出・共有(15分)
疑問点にしっかりラインを引く
それをグループで共有
グループで調べ、解答を共有
⇒ ダメなら質問を板書
ここで1時間目終了
以降、2時間目
※準備(5分)
B 重要ポイント(10分)
〇インドシナ戦争とベトナム戦争
・仏がジュネーヴ休戦協定を結び撤退
→ ベトナム民主共和国(北)・ベトナム共和国(南)
・米がパリ和平協定を結び撤退
→ 南北がベトナム社会主義共和国に統一
○ベルリンの壁(1961~89)
人材の流出(13年間で約274万人)
→ 流出防止のため「壁」を建設
ポーランドで「連帯」が共産党に圧勝
→ 東欧革命の開始
「ヨーロッパ=ピクニック計画」
→ ホーネッカー政権崩壊でベルリンの壁開放
→ ドイツの統一(1990)
資料の解読(20分)
グループ内で一人ずつ割りあてて相互説明
Q1:ベトナムを植民地にした国はどのように支配しようとしたのだろうか?
宗主国はフランスであった。フランスの国旗は自由・平等・博愛を表すトリコロール(三色)でありながら、植民地のベトナムに対しては独立を認めず、自由を抑圧していることが資料から読み取れる。
Q2:アメリカはなぜ南ベトナムの独立を阻止しようとしたのだろうか?
南ベトナムは暫定的に資本主義であるベトナム国(のちにベトナム共和国)が成立していたが、フランスがベトナムから撤退したため、:社会主義である北ベトナム(ベトナム民主共和国)の勢力が拡大して南ベトナムも社会主義になる恐れがあった。南ベトナムには社会主義勢力である「南ベトナム解放民族戦線」が存在し、米国としては南ベトナムが社会主義として独立するのを阻止したかった。
Q3:「ヨーロッパ=ピクニック計画」はどのような影響を与えたのだろうか?
東ドイツからチェコ、ハンガリー、オーストリアを経て、西ドイツに脱出する「ヨーロッパ=ピクニック計画」が進んでいた。そのため、東ドイツから西ドイツへ人口が流出し、社会主義から資本主義に転換する東欧革命も起こっていた。やがて、ホーネッカー政権(東ドイツ)が崩壊し、西ドイツに吸収されてドイツが統一された。現在のドイツは資本主義であり、首都は旧東ドイツの都だったベルリンである。
G 今日のゴール(15分)
どのように代理戦争がおこり、冷戦は進んでいったのか?
Keyword:インドシナ戦争、仏、ベトナム戦争、米、ベトナムの統一、ベルリンの壁、独の統一
ホー=チ=ミンが大統領になりベトナム民主共和国が独立すると、宗主国の仏は社会主義化を防ぐためにインドシナ戦争を起こした。その結果、ジュネーヴ国際会議で休戦協定が結ばれ、北緯17度線を境に南北に分離し、仏は撤退した。
だが、北ベトナムが社会主義になると、米が介入してベトナム戦争が起こった。ジョンソン大統領は南ベトナムを支援して北爆を行ったが、パリ和平協定が結ばれ、米は撤退した。その後ベトナムの統一により、ベトナム社会主義共和国が成立した。
ベルリン分割後、ドイツでは東から西へ人が流出したため、東ドイツは1961年にベルリンの壁を建設した。だが、1989年ハンガリーがオーストリアとの国境を開放すると、多数の東ドイツ市民が「ヨーロッパ=ピクニック計画」で西へ移動し、ベルリンの壁が開放された。そして、翌年に東が西に吸収されて独の統一が実現した。
2023.1.20&21
本日より最終章に入りました。
でも、残りの授業数は7~9時間。
だから、テーマを絞って学びます。
第Ⅲ部 グローバル化と私たち
について今後の予定は次の通りです。
No.31 グローバル化とは何か?
No.32 冷戦と代理戦争
No.33 核開発
No.34 アラブ世界
No.35 高度情報社会
本格的に授業を始める前の
イントロダクション的な時間です。
最初は「グローバル化とは何か」を考えます。
◎グループ作り(5分)
※クラスによってはトランプで再編成
◎授業の流れを説明(5分)
◎個人で考える(15分)
(1) グローバル化とはどのようなことだろうか。
思いつくものをどんどん出してみよう。
(2) 現代において、グローバル化には
どんな課題が生じているだろうか。
自分なりの仮説を立ててみよう。
→ (1)(2)は「仮説シート」に入力して
Google Classroomで「提出」
◎グループで共有(25分)
(1) (2)をグループで共有する
(3) グループで共有した「グローバル化」にあてはまる写真や図表を選び、そのうち二つを説明しよう。
※グループで出たグローバル化
・格差
・差別
・人の移動
・開発
・一体化 など
次回の授業からは、
2時間で1セットとします。
授業の流れは、グループワークで対話を重視し、
個人⇒友人⇒個人⇒友人
で思考・表現する形式にします。
そして、最後の振り返りは「個人」で。
1時間目は、
①教科書精読して相互説明
②疑問点抽出してグループで解決
(解決できないことは質問を板書)
→ 次の時間に解説
2時間目は、
①ポイント解説
②資料を解読して相互説明
③個人で「今日のゴール」を作成
→ 解答例をグループで共有
(授業ブログで一部公開)
2023.1.1
あけましておめでとうございます。
しばらく更新していませんでしたが、
金曜日に授業があるクラス以外は、
2コマ分の授業(No.28, 29)を終えています。
すべてのクラスで授業を終えた時点で、
随時アップされることになっています。
もう少しだけお待ちください。
では、なぜ今頃更新?
元旦のご挨拶?
そうではなくて、2022年の最後の授業で、
いつも生徒が書いている「探究出発シート」
を、私自身の冬休みの宿題として預かっています。
今日は年初めということで、
そのことについて書いておこうと思ったのです。
これまでも授業ブログに載せてきましたが、
「探究出発シート」とは、
授業の最初に教科書を読み、
生徒一人一人が
「疑問に思ったところ」
「説明が欲しいところ」に線を引き、
それが可視化できるようにシートに書き出すものです。
疑問に思ったところを調べてみようと感じるから、
「探究出発」というネーミングにしました。
そしてこれは、critical reading の訓練にもなります。
教科書に書いてあるのは「本当?」「なぜ?」
と考える習慣をつけるのも目的なのです。
というわけで、疑問点が書いてあるシートが約190枚。
今、私の目の前に積み重なっています。
昨日締切の論文を提出したので、
これから生徒たちのシートに目を通します。
授業でわかった疑問点もあるので、
授業を終えてもわからなかった疑問に☆をつけてあります。
つまり、☆はこれから調べなければいけないもの。
でも、新年のサービスとして、
全員の☆がついた疑問に、
私が一つ一つコメントをつけて返却するということです。
そんな手取り足取り、甘やかしていると、
生徒の力がつかないよ、という先生がいそう(笑)。
ま、今回は私自身の勉強にもなるし、
新年のサービスということでご容赦ください。
では、生徒はどんなことが疑問なのか、
いくつか紹介します。
No.28 東西陣営の分断はどのように進んだのだろうか?
・ヤルタ会談で認められたポーランドの自由選挙は、どうして戦後実現しなかったのか?
・西側の通貨改革がなぜベルリン封鎖につながったのか?
・なぜイギリスは1947年初めまでやってきたギリシア・トルコへの支援を中止したのか?
・なぜ中国では、それまで優勢だった国民党に共産党が勝てたのか?
No.29 戦後の日本の立場はどのように変化したのだろうか?
・農地改革はどのような目的だったのか?
・中国と台湾はなぜどちらもサンフランシスコ講和会議に招かれなかったのか?
・軍事化を拒否した日本政府は、なぜ秘密裏に米国に軍事協力したのか?
・日本で言論の自由が認められたのに、連合国への批判が禁じられたのはなぜか?
・なぜアメリカは南西諸島と小笠原諸島を直接統治したのか?
さて、みなさんならどう答えますか?