マヤ夫の歴史総合

高校の歴史総合の授業記録です。

2022-22 世界恐慌

2022.11.16

解答例をアップしました

まず探究的時間(小単元ごとのまとめ授業)に向けて、
「日本の戦間期の課題」とは何だろうか?
という問いに対する答えを
「仮説シート」に記入して提出。

単元の授業を経て、
どう自分が成長したのか実感するのが目的。

今日のテーマ
世界恐慌に対し、英・米・日はどのように対応したのだろうか?

[授業の流れ]
P.Icebreaker:頭の体操と対話
A.探究の入口:Critical Reading
B.知識の習得:自分で調べ、解説を聴いて知識を共有し、疑問も解決。
C.技能の習得:資料の読み取りをし、ペアで共有。
D.知識の活用=思考・判断・表現力の育成:「アプローチ」の解答を考えて共有
G.活用・探究=今日のゴール:「今日のテーマ」の解答づくり、振り返り、仮説の検証

KP22.jpeg

P 対話の準備 Icebreaker
 次の写真からどんな問題が読み取れるだろうか?
 ☛  p.114 資料1・2
 世界最高水準の生活!と書いてありながら、アメリカは水害とはいえ配給に列をなし、失業者も増えている状態!

A 探究の入口 Critical Reading
〇教科書熟読
大恐慌とその波及」
ニューディールの展開」
「昭和恐慌の発生」
「恐慌からの脱出」
〇疑問点抽出
テーマに即した箇所と自らの疑問点を掘り出し、「探究出発シート」に記入

B 知識の習得 ポイント解説
大恐慌とその波及
〇背景:農業不況による農民の購買力低下
    アメリカに集中していた資金が株式に投資 → アメリカコケればみなコケる
〇Black Thursday(暗黒の木曜日
 1929.10.24にウォール街で株価大暴落 ☛ 資料4
〇対策
・米国:海外投資の引き上げ
     高関税政策(40%を超えることも)
・英国
 ブロック経済(連邦内の関税引き下げと連邦外の関税引き上げ)
 ※仏・日・独・米も同様の措置
  ⇒ 多くの国が金本位制を停止(自国の貨幣価値が下がると金兌換から切り離さなければ不利)

ニューディールの展開
〇フーヴァー=モラトリアム
 賠償金・戦債支払の1年間猶予 → 効果なし
ニューディール政策(新規巻き直し)
 フランクリン=ローズヴェルト民主党)による「大きな政府」(国家介入)
  ※「小さな政府」は自助を基本として極力介入せず
    「大きな政府」は国家が経済に介入して福祉も進める
 ・農業調整法(AAA)
  政府が農作物を買取り、農作物の価格引上げ
 ・全国産業復興法(NIRA
  工業製品の価格引上げ、労働者の権利保護
   → ワグナー法:団結権・団体交渉権
 ・テネシー川流域開発公社(TVA)
  ダム建設など公共事業
   → 電気料金引下げ、失業者減少 ☛ 資料5

◎昭和恐慌の発生
・金融恐慌
 関東大震災による復興(震災手形の不当たり)と銀行倒産
 旧平価による金輸出解禁(1930、金本位制への復帰)
  浜口雄幸内閣(立憲民政党
 → 旧平価(レート高すぎ!)に伴う円高で輸出不振
   金解禁による正貨流出(金が海外へ)
 → 昭和恐慌
    工業製品の価格暴落、企業の倒産

 Q:円高と円安、どちらが輸出に有利か?
  1ドル100円と200円を例に考えてみる。

・農業恐慌
  農作物の価格下落
  米国への生糸輸出激減に繭価暴落
  → 特に東北地方に打撃
  ⇒ 労働争議や小作争議も激増
     為替差益(円安を予期しての円売り・ドル買い)を進める財閥への批判

◎恐慌からの脱出
金本位制の停止、管理通貨制度への移行(1931)
 犬養毅内閣(立憲政友会)・高橋是清蔵相による積極財政
  ⇒ 赤字国債による健全財政の捻出
     産業活性化による恐慌脱却 ☛ p.116 資料8
 重化学工業の発展:軍需と保護政策(大きな政府
 鉄鋼・機械・化学の成長 ☛ p.117 資料10

C 技能の習得
・資料5 p.115
ニューディール政策の成果と問題点は何か?
 グラフを見ると失業者数、倒産企業数とも減っているが、再び多くなり不安定
  一番多い年で失業率約30%も
 安定した景気対策が必要なことがわかる。

・資料10 p.117
日本の工業の中心はどのように変化したのだろうか?
 繊維・食料品などが徐々に減り、化学・鉄鋼・機械などの重化学工業が増加している
 これは日本の積極財政によって産業が活発化したことを示している。

D 思考・判断・表現力 = 知識の活用 「テーマへのアプローチ」
 恐慌からの脱却を目指し、各国に共通する特徴は何だろうか?
 政府が経済に介入し、大掛かりな景気対策を実行した。
 すなわち「自由放任主義」から「保護政策」への転換であり、「小さな政府」から「大きな政府」となった。
 米・英・日とも金本位制から離脱した。
 そして高関税によるブロック経済政策を実施した。


G 今日のゴール = 知識・技能の活用
 探究の時間(小単元ごとのまとめ授業)で確認
 世界恐慌に対し、英・米・日はどのように対応したのだろうか?
   Keyword:大きな政府金本位制ブロック経済ニューディール政策、積極財政

英・米・日いずれも、自由放任である小さな政府から国家が経済に政策介入する大きな政府へと転換した。具体的には、いずれの国も金本位制を停止し、他国からの輸入品に高関税をかけるブロック経済政策を行った。米国はフランクリン・ローズヴェルト大統領がニューディール政策を実施し、農作物や工業製品を値上げさせて民衆の利益を増やし、TVAによる公共事業を立ち上げて失業者を減らした。日本は犬養毅内閣が赤字国債を発行し、緊縮財政から積極財政に転換し、世界恐慌からいち早く回復した。